フランス、19世紀中期のバカラのポ・ド・ポプリをご紹介いたします。
直径14.5cm、高さ9.5cmのサイズ、
「ポ・ド・ポプリ」とはフランス語で「香草入れ」のこと、
19世紀当時は、乾燥させた薔薇の花びらや香草を入れ、部屋に置いたり、果物を飾ったりしました。
この「ポ・ド・ポプリ」の素晴らしいのは、
裏面もふくめて全面にレース模様のカッティングがあることと、
その上、19世紀のバカラならではの、
すみれ色がかったローズピンクの被せガラスにあります。
被せガラスとは、透明なガラス素地を覆うように色ガラスを重ねて熔着する技法で、
被せた上からクリスタルタイユをほどして、下のガラスの色とのコントラストを出します。
上から、
底、
光の反射で底のエマイユが見えにくいのですが、後ほど背景を白にした下方の写真でご覧ください。
本体と取っ手、底全てに被せガラスがあり、
取っ手の内側には大きな楕円、その周囲には約2mm四方の菱形のカッティングがあります。
ボディの厚みは約7mm、バカラならではの重厚感です。
19世紀中期の貴族や大ブルジョワの館では、
このような器へポプリ(花や葉を乾燥させエッセンスやオイルを交ぜ作る匂い草)を入れ
エントランスへ飾り、良い香りで来客を迎えることが習慣の一つでした。
ダイヤモンドカット、菱形など大きさ、深さ、
さまざまなバカラ独自のカッティングを駆使したオブジェ、
手が切れそうな位鋭く美しいカット技術です。
そのカットがバカラクリスタル独特の輝きを放ちます。
こちらは19世紀風に、ラナンキュラスや薔薇、ハーブなどの百花草を入れた例です。
きらきらと輝き、
テーブルに果物や花を飾るのも素敵です。
下の写真の中央にある雪の結晶のようなカッティングは、
カット技術の中でも最も難しいものです。(バカラ歴史書より)
裏面にも縦横無尽にカッティングがあります。
いにしえは、ディナーの席では、フルーツを盛りセンターテーブルへ飾られていました。
*欠け、割れなどはなく画像通り綺麗ですが19世紀中期頃のお品です。
*クリスタル・タイユ
回転板を回しながらクリスタルガラスを刻む技法。
ダイヤモンド、キャレ(四角)、エトワール(星)等の名がついた幾何学模様を中心とした非常に多くのバリエーションがあり、それらの凹凸を違え模様を組み合わせ完成したデザインが刻まれ、1つのオブジェへ各技法と技術毎に4〜5人の職人が携わり完成させる。
バカラは1824年に、水力エネルギーによる回転板技術を取り入れた最初の工房で、最も完成度の高いオブジェを創作するに至る。
* バカラ Baccarat
「バカラ」はフランスで1764年に創設されたクリスタルガラスのメゾンである。
アンティークの作品で18世紀中期から19世紀後期までに作製されたオブジェの多くはヨーロッパ王侯貴族や大ブルジョワによるオーダーメイドであった。
バカラの良さは、ヨーロッパで最高と言われる鉛含有率30-38%の質の高いクリスタルガラスのクオリティ、カッティングの美しさ、金彩やグラビュール(彫刻)、エッチングを施し、金や銀、ブロンズで装飾した重厚で繊細なオブジェのデザインにある。
N.1265 ポ・ド・ポプリ 〜19世紀 被せクリスタルガラス / アンティークバカラ
フランス 19世紀中後期
素材:クリスタルガラス・エマイユ
サイズ:W17.0cm 直径14.0cm H9.5cm(取っ手含まず7.5cm)
価格:9万5千円
* お問い合わせの際は、お手数ですが上記の品番と品名をお書き添えください。