フランスの19世紀のクリスタルガラスの蓋付き器をご紹介いたします。
バカラ、またはクリシー製と考えられ、
全体に金彩が施してあります。
器の高さ10cm、直径16.2cm、蓋の直径は18cm、
蓋はつまみ付きで、金彩文様仕上げです。
上から、蓋を外して、
薔薇文様と葉のガーランドをリボンで結んだ図柄です。
蓋の縁はクリスタルタイユで面取りで金彩を施してあり、
蓋のつまみにも一輪の薔薇金彩があります。
蓋はこのように、
器の内部へ入り込む部分を作ってあり、ずれにくい形です。
器の底には当時のマガザン・ド・リュクス(贅沢な店)、
「ダモン&デレンテ マルゼルブ大通り20番地 パリ」の刻印が金彩であります。
マルゼルブ大通りは現在もあるパリ8区の大通りで、
近くにはオペラ座、マドレーヌ寺院があり、
昔からバカラ、サン・ルイなどもクリスタルのメゾンをはじめ、
たくさんの高級ブティックが軒を連ねる通りです。
器と蓋は全体が面取り状になっており、
縁から底まで面取り状が見られ、反射光できらめいているのも
古い時代のクリスタルガラスらしいお品です♪
器には薔薇ブーケの他に星と楕円形の縁飾りも金彩があります。
割れ、ヒビはなく、金彩は画像に見られるように所々にわずかに擦れが見られますが、
一見ではとても綺麗です。
19世紀の珍しいクリスタルガラス製の蓋つき器は、
綺麗な色のボンボンやお菓子を入れて、
透明なクリスタルガラスで色を楽しんだり、棚へ飾っていました。
窓辺へ、テーブルへ♪
飾っておくだけでも綺麗な蓋つき器です。
*クリスタル・タイユ
回転板を回しながらクリスタルガラスを刻む技法。
ダイヤモンド、キャレ(四角)、エトワール(星)等の名がついた幾何学模様を中心とした非常に多くのバリエーションがあり、それらの凹凸を違え模様を組み合わせ完成したデザインが刻まれ、1つのオブジェへ各技法と技術毎に4〜5人の職人が携わり完成させる。
バカラは1824年に、水力エネルギーによる回転板技術を取り入れた最初の工房で、最も完成度の高いオブジェを創作するに至る。
* バカラ Baccarat
「バカラ」はフランスで1764年に創設されたクリスタルガラスのメゾンである。
アンティークの作品で18世紀中期から19世紀後期までに作製されたオブジェの多くはヨーロッパ王侯貴族や大ブルジョワによるオーダーメイドであった。
バカラの良さは、ヨーロッパで最高と言われる鉛含有率30-38%の質の高いクリスタルガラスのクオリティ、カッティングの美しさ、金彩やグラビュール(彫刻)、エッチングを施し、金や銀、ブロンズで装飾した重厚で繊細なオブジェのデザインにある。
*クリシー Clichy
「クリシー」は1839年にルイ・ジョセフ・マエにより創業、
パリの北東に位置するクリシー・ラ・ガレンヌの19世紀のクリスタルガラス・メゾンである。
バカラ、サン・ルイと並ぶフランスの最も偉大なメゾンで、クリスタルガラスを熟知した技術者ルイ・クレマンドの参画により、質の高いクリスタルガラスのクオリティを保ち、ナポレオン3世皇帝時代に最盛期を迎えている。
クリシーの素晴らしさは流麗で繊細なデザインに現れ、美しい形、グラビュール(彫刻)、金彩、色、レース状、ブロンズ装飾のクリスタルガラスを創作。
1844年のパリ万博で銀賞、1849年には金賞を受賞しその名を世界に広め、
20世紀のごく初期にメゾンの幕は閉じられたが、創業者のマエ一族は現在も当時の城館を維持し、フランスのクリスタルガラスの歴史を体現する学者としてメゾンの名を守り、家系は存続している。
N.1263 蓋つき器 〜薔薇とリボン・ガーランド金彩/フランスアンティーククリスタル・バカラまたはクリシー
フランス 19世紀後期
素材: クリスタルガラス・金彩
サイズ:H10cm x 蓋直径18cm x 器直径16.2cm
価格:5万円
* お問い合わせの際は、お手数ですが上記の品番と品名をお書き添えください。