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19世紀中期-後期のフランス製のアンティークジュエリーボックスです。
滑らかななめし革にアンピール様式の金彩の型押し、リボン状に緑色がつけられた上にもチェーン模様が装飾されています。
ボックス内は2段に分かれ上段にはリングを入れるところもあり、山吹色のシルクタフタ張りです。
このジュエリーボックスが珍しいのは、蓋には「グラビュール」(仏語:版画)のもとになるメタル製の彫版板がセッティングされているということです。
この版画の元になった絵は、18世紀のフランスの画家ランクレ作で、当時の有名なバレエの踊り子、マリー・カマルゴ嬢の舞台を描いています。
この彫版板は、19世紀の2大グラビュール作家の一人の作品で下にサインがあります。
当時、彫版板は技術的にも視覚的にも驚くほど精緻で美しいため、ブシュロンなどの宝石商が顧客のために作製するジュエリーボックスや、ショーケースのデコレーションとして使われました。
また、版画と原版をコレクションすることが一つのステイタスになっており、版画のコレクターにも求められました。
版画は複数印刷できますが、原版は一枚しか制作されませんから当時でも入手は大変困難なものです。
底にはコニャック色の革が張られ、四つ角には半円形の保護メタルが取り付けられています。皮革は胡桃の木を模した染色方法が取られています。
フランス語で「マロケニェール」と言われる特有の革細工の職人技術で、革は植物染料を使い大変な時間をかけてなめされ、130年近く経った今でも艶やかな美しい色を保っています。
鍵は装飾ですが2段型で使いやすく、古典バレエを観ているような気持ちになるアンティークジュエリーボックスです。
* ランクレ(Nicolas Lancret)1690-1743
フランス、ロココ芸術期の雅宴画家。フランス王立絵画・彫刻アカデミー会員。
その典雅な作風と田園風景画により、フランスのみならず帝政ロシアやイギリス宮廷で大変な名声を得る。
カマルゴをテーマにした絵は数点制作、現在はエミルタージュ美術館、ワシントンナショナルギャラリー、ロンドンのウォレスコレクションにあり、このジュエリーボックスの絵はエミルタージュ美術館に保存されている。
わずか2cmの幅です。
ラ・カマルゴ(エミルタージュ美術館蔵/サンクトペテルブルク)
ダンシング・マドモアゼル・カマルゴ(Wallace Collection美術館 / ロンドン)
*カマルゴ (Marie Anne de Cupis de Camargo)1710-1770
1726年にパリオペラ座にて初舞台を踏み、以降優雅なステップと女性ダンサー初の跳躍によりヨーロッパバレエ史上へその名を残す。 それまでの重い衣装をやめ、体の動きを美しく魅せるチュチュや靴の元となった短めのスカートとヒールを無くしたトゥシューズを取り入れ、近代バレエの礎を築いた。
No.116 <ジュエリーボックス>
フランス 19世紀中期-後期
素材:皮革・金彩・シルク・木・メタル
サイズ:L13.5cm x W19.0cm x H6.8cm
価格:Sold-
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