フランスの19世紀中頃に作られたアンティークジュエリーボックスです。
*** こちらのお品はSold-となりました、ありがとうございました。***
木に皮革張りで、全体に施した金彩は花々のつながった優雅なガーランド模様です。
革の色はグレイッシュなスミレ色です。
このなんともいえないグレーやベージュを混ぜたようなデリケートな色は、他のヨーロッパのどの国にも見られないフランス独特の色彩感覚です。
当時のなめし革は、今では考えられないくらい大変な時間をかけ作られ植物染料で色づけされました。
フランス語で、「マロケニエール」と言われる特有の革細工の職人技術です。
150年近く経った今でもその美しい色を保っている第二帝政時代特有のデザインのボックスです。
このボックスが大変珍しいのは、手袋をセットするパーツが蓋に付けられていることです。
「ハープ」を象ったこのいにしえの道具をご覧ください。
こんなふうに手袋をセットし二つのハープを重ねるように閉じ、貴婦人を待っていました。
19世紀、貴婦人達は手袋の上から指輪やブレスレットを身につけました。午後の散歩、そして夜会の為に・・・と外出にあわせお付きのメイドがドレスに合う手袋をここへセットし、中にはジュエリーが入れられました。
コルセット、ドレスを身につけ最後の仕上げ、このボックスが貴婦人の前に差し出されます。
手袋をはめ、ボックスを開けてジュエリーを身につけおめかしの仕上がりです。
現代の生活様式からは想像しがたいような・・・そんな情景が繰り広げられていた時代のジュエリーボックスです。
ハープはボックス同様の革張り、裏側は象牙色のシルク張りです。
ボックス内部は象牙色のシルク張り、蓋にはパリの「シュグノゥ(Seugnot)」28, Rue du Bac PARIS工房製というマークが貼られています。
底は濃いスミレ色の革張り、四隅には三角錐の保護メタルが取り付けられています。
ボックスは2か所につけられている装飾ボタンで開閉します。
*このボックスと同じ時代、19世紀の貴婦人の手袋をお見せ致しましょう。
他では見られない皮革が使われているのですが、さてなんの革なのでしょうか。。。
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こちらは19世紀中頃の、『 白鳥の革 』を使った夜会用のロング手袋です。
白鳥の革はまるで素手でいるように感じるくらい大変薄くてしなやか、
手の形にぴったりと裁断される縫われる、いわば手袋のオートクチュールです。
まるでシンデレラの靴のように、生まれたときから一度も仕事をしない手、
そんな手にしか入らないサイズの細い細い手袋です。
手首には着脱がしやすいように貝ボタンが着けられています。
そして手袋と一緒に写っている袖のようなもの、これも手袋の一部です。
肩までみえるような「ローブ・デコルテ」(胸を大きくあけた夜会服)の時には二の腕に袖を付け、
それからロング手袋をします。
位が高くなるほど正式な場で腕を出すのはタブーな時代がありました。
たいへん稀な事ですが、王室のある国では今でも最上級の夜会や王女の結婚式の際にはこの手袋を身につけます。
この手袋は2,3回使うと伸びてしまい使えなくなってしまいますから、
本当にプレシャスなものだったのですね。
日本の皇室の后妃方がローブ・デコルテと共に着けられる手袋は、
おそらくこの白鳥の手袋が使われ続けていると思われます。
N.0141<アンティークジュエリーボックス / スミレ色 ガーランド金彩>
フランス 19世紀中期
素材:シルク・金彩・メタル・皮革・木
サイズ;L29.0cm x W12.0cm x H10.3cm(上部装飾含む)
Sold-
(レース手袋は別売)
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